コメディは難しい⑤(叱り方編)
唐突だが、iPhoneでikkの文字を打つと、「一階」、「一向一揆」でもなく
「ikko」と出てくる。
私はこれまで、ikkoさんについて一度も調べた事はないのだが、さっとiPhoneは忖度して出してくれる。
なんで?と思う反面、少し怖いと思う。
iPhoneにまでikkoさんが浸透しているとは只事ではない・・・・。
Ikkoさんは言わずと知れた美容家だ。
以前、女性に「どうしてオネエの方が、化粧品やメイク術を紹介すると売れるのか?」と質問した事がある。
ある女性の答えでは、余り美人な人に勧められても説得力がないというのである。
私は間髪入れずに問い返した。
「でも、ikkoさんは男じゃんっ。男に勧められても余計に説得力ないよ」
これに対し、「女性以上に研究をしているし、なんだか言葉は入ってくる」という。
美人が自身の肌に塗ったり、他人に塗ったりしている様子を紹介して「どうです?」という呼びかけは、少々イヤミに映るのだという。
そうした弊害を緩和しているが、ikkoさんを代表するオネエの美容の専門家らしい。
私はこれを聞いてから、数々のオネエの方を注視してきた。
観察すればするほど、私は勝てないと思う・・・。
冷静に分析した結果、少なくとも3点について勝てない。
まず第1は、オネエの方は、男と女の気持ちが理解できるという点。
第2に、あのマイルドな口調。そして、女性に対して警戒を薄れさせる容姿である。
第3に、突如、男に戻るという、瞬時にギャップを演出でき、明るい点。
(※全員が明るい訳ではない)
この3点の内、1点目だけは努力では超越できない壁として立ちふさがっている。
私が出来るとするなら、2と3。
女装と口調をマネればなんとかなりそうだ。
ただ、ここにも問題が立ちふさがる。
女性として綺麗になりたいという願望がなければ、コントの女型にしかなれず、ましてや、職場で女装などしようものなら、上司からふざけているのかと叱責を受けかねない。
日常生活でかろうじて私ができるとするならば、口調をマネすることぐらいだ。
暇つぶしにオネエの口調をマネしてみたら、意外と上手いらしく彼女も笑ってくれた。
本題に戻る。
人を叱る、もしくは注意する時は苦労する。
最近では強く注意すると、パワハラだと問題になりかねない。
別に管理職でなくとも、若手や後輩を注意するにしても気をつけねばならない。
私は注意した後、なるべく後を引かず、改めてもらう事につながる様心がけている。
しかし、相手が女性となると、これまた注意の仕方を考慮しなくてはならない。
誰にでもある事だが、仕事中、隣の席の人と会話が盛り上がってしまう時がある。
早く仕事に戻ればいいのだが、注意しなければならない時もある。
なるべく女性を注意したくないが、せざるを得ない時もある。
そんな時は、「ちょっと」と廊下に呼んで「少しぐらい話すの良いけど、仕事も忘れないでね」と注意する。
女性職員はうつむいて「はい、すいません・・・」と反省するが、いつも後味が悪い。
何だか、私がイジメているかの様な構図ができてしまうからだ。
下手に泣かれでもしたら、私が悪者になってしまう。
苦肉の策で、「静かにしてちょうだいっ、今度やったらコラリッチっ」とオネエ口調で叱責し、拳を振り上げた。
すると、女性職員は「ふっ」と力が抜けが笑みが戻った。
以来、叱る時は「コラリッチ」を付け加える事もある。
まあ、その女性職員とはよく話す関係であった事が前提ではあるが・・・。
コメディは難しい・・・。