(江戸名所図会7) (19) 初日の晩、仙蔵は笹子峠の手前、黒野田宿まで行き一泊した。 二日目の朝、難所の峠を越え、上野原宿の木戸が閉まる刻限ぎりぎりの暮六つに辿り着き、辺りはすっかり暗くなっていた。 宿屋の主人に宿賃を尋ねると二百文だと告げ…
(18) 仙蔵の心とは裏腹に、空は澄み渡り旅立ちには申し分ない。 師走の寒さは和らぎ風も穏やかであったが、仙蔵は逃げるかの様に菅笠を目深に被り、往来の人々の目を避けて進む。 石和宿の木戸に差し掛かると、仙蔵の心持を見抜いたように「そこの者、待…
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