増税、還元、キャッシュレス。 そして明日は、ホープレス。

長編小説を載せました。(読みやすく)

自殺

【 死に場所 】place of death 全34節 【第二部】(21)~(22) 読み時間 約15分

(江戸名所図会 7) (21) 仙蔵が村を出て五日後。 小仏峠を越え駒木野の関所付近から、通行手形がなく締め出された者たちが、道の両脇に座り込んだり、物乞いをしたりする姿を多く目にする。 仙蔵は、憂き目漂う道中を菅笠で覆って逃れるように先を急いだ…

【 死に場所 】place of death 全34節 【第二部】(19)~(20) 読み時間 約15分

(江戸名所図会7) (19) 初日の晩、仙蔵は笹子峠の手前、黒野田宿まで行き一泊した。 二日目の朝、難所の峠を越え、上野原宿の木戸が閉まる刻限ぎりぎりの暮六つに辿り着き、辺りはすっかり暗くなっていた。 宿屋の主人に宿賃を尋ねると二百文だと告げ…

【 死に場所 】place of death 全34節【第一部】(16)~(17) 読み時間 約10分

(16) それから三日間、毎日松次郎が弁当を持って来て、仙蔵の汚れた着物を持って帰った。 翌日、松次郎がぼろ小屋に来た時に、通行手形を渡された。 「少しはどこへ行きたいか思い付いたか?一応、伊勢詣りって事にしてある」 松次郎は往来手形の書状を…

【 死に場所 】place of death 全34節【第一部】(13)  読み時間 約10分

(13) 翌日も、仙蔵は村人の前で見せしめに背中を押され歩かされる。 いつもの小屋に連れて行かれ、辰次たちの博打を眺めるしかない。 その時間は途方もなく長く感じられた。 何も訊かれず時だけが過ぎ、仙蔵は辟易とした日々の繰り返しに、とうとう我慢…

【 死に場所 】place of death 全34節【第一部】(10) 読み時間 約12分

(10) 仙蔵はおさよと二人きりになると、再び無口になってしまった。 おさよは仙蔵の後ろに下がって歩くため、ますます話しづらい。 仙蔵はいつもの狩場へと、後ろに付いてくるおさよを気遣う。 「もう少しですから・・・」 はいと、おさよもこくりとうなづ…

【 死に場所 】place of death 全34節【第一部】(3)~(4)読み時間 約10分

(川崎市立民家園) (3) 全国的に大飢饉が続く中、甲斐に隣国の商人が現れた。商人等は相場よりも高値で米を買い集めた為、甲斐から米が流出した。当然、米価は高騰。 甲斐都留郡(大月市周辺)では三年以上続く飢饉で多くの死者が出ており、これが更なる…